はじめに
 豊岡市医師会は、昭和22年に医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、もって社会福祉を増進することを目的とし設立された「城崎郡医師会」と「出石郡医師会」を母体としております。「城崎郡医師会」は豊岡市誕生に伴い昭和25年に「豊岡市城崎郡医師会」に改名。平成の大合併に伴い平成17年、版図は同じで、香美町香住区を含む(旧)「豊岡市医師会」と名称変更。平成22年、同じ豊岡市内の「出石郡医師会」との対等合併で、現在の(新)「豊岡市医師会」が誕生しました。平成24年4月には「一般社団法人豊岡市医師会」となり現在に至っています。
神戸市よりも広い地域に人口約10万人。四つの公的病院、一つの有床診療所、60の診療所があり、医師会員数は診療所院長、病院長、勤務医など計142名です(平成27年3月31日現在)。
 広い地域ですので、旧行政区の豊岡、日高、出石・但東、竹野・城崎、香住の地区及び豊岡病院に分けて、実際の活動は各地区、病院にお任せすることもあります。月一回の理事会での連絡・協議・決定事項などを地区の連絡会で会員に周知する仕組みです。
 医師会総会は年一回(春)。必要に応じて臨時総会を開催しています。全員の懇親会は主として総会時などに年2回開催しています。会報は年一回発行。その他旅行、ボーリング、ゴルフなどの事業を通して会員同士の親睦を図っています。
豊岡市医師会の活動
 特筆すべき活動は、検案(検死)業務の分担です。事件性の無い案件に限って行っています。制度発足のきっかけは30数年に亘って検案をほぼ一人で担ってこられた先生の引退でした。平成23年より始まり、現在26の診療所と一つの病院が豊岡南及び北警察署管内の年間約150件の検案を行っています。「覚悟の要る」案件もありますが、スムースな検案は遺族にも感謝されています。
 救急医療に関しては、昭和54年に開設された「豊岡市休日急病診療所」に薬剤師会と協力して内科・小児科の先生方に出務をお願いしています。ドクターヘリ・ドクターカーを有する但馬救命救急センターと機能分担しながら、但馬のみならず京都府の一部地域の休日・祝日の応急診療体制確保に貢献しています。 兵庫県健康大学豊岡講座の「豊岡市市民健康大学」は、10年以上の連続開催実績があり、歯科医師会・薬剤師会・行政等の協力を得て、単なる「健康講話」から市民向けの良質な「総合医療保健講座」への脱皮を目指しています。
生涯教育の一環として各種講演会を随時開催しています。予防接種に関する講演会は年2回開催しており、この講演会への少なくとも一回の出席を予防接種施行医療機関の行政への推薦条件にしています。
 公的病院の院長、先生方には各地区連絡会にも参加して頂き、病診連携の充実を図っております。中核病院である公立豊岡病院院長には医師会理事に就任して頂いております。また毎年公立豊岡病院の各診療科の先生方と直接顔を合わせる「病診連携委員会」を開催して、実務的にも実りある病診連携を目指しています。公立豊岡病院には、但馬救命救急センター、但馬認知症疾患センター、こうのとり周産期センターが併設されています。
また、従来よりの学校医、乳幼児検診、予防接種、産業医、介護認定審査会活動等は既に基本的な仕組みがあり、会員の先生方のご協力により円滑に行われています。
当面の活動
 医師会内外への情報伝達・発信を目的に、この度医師会ホームページを開設しました。また2025年問題を見据えた「地域包括ケアシステム」構想に対応すべく、三師会(医師会、歯科医師会、薬剤師会)や豊岡市地域在宅医療推進協議会などを念頭に多職種連携を、また健康福祉事務所や豊岡市など行政との連携強化を進めています。
今後の課題
 当地区の課題は何と言っても少子・高齢化、過疎傾向です。年に1%の自然人口減少が加速しています。診療所の減少も既に始まっています。医療資源基盤の脆弱性・(広域がための)医療の非効率は逃れようのない宿命と感じています。また、当地区の中核病院の医師不足が解消せず、診療所の診察にも一部支障を来しています。しかしこれらの課題は医師会のみでの対応が困難であり苦慮しています。
(平成27年4月)